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○ゴルフ会員権・不動産は現行維持、導入時期が焦点に○
政府税制調査会の金融所得の一体課税の概要が固まった。
一体課税の対象は金融商品に限定し、不動産やゴルフ会員権は除外する。
預貯金に集中している個人の金融資産を株式や債券市場に誘導する「貯蓄から資本市場へ、という政策目的にそぐわない」(税調関係者)ためだ。
対象範囲が絞られたことで、今後の検討課題は導入時期などに移る。
不動産は譲渡益に税金がかかる。
今年から売買損益をほかの所得と損益相殺し、税額を減らせる制度を廃止した際に、「金融一体課税の対象になる」との見方が浮上していた。
総合課税の対象となっているゴルフ会員権についても金融一体課税に含まれるとの観測があった。
しかし、政府税調は「投資用不動産、ゴルフ会員権は預貯金や債券といった金融商品とは認められない」と判断し、対象外とする方向に傾いた。
投資家が意図的に損失を出して、金融所得の税額を減らす行為が横行するのではないかとの指摘が根強いことも背景にある。
対象となる金融商品の柱が株式、債券、投資信託、預貯金になったことで、導入時期が今後の焦点となる。
具体的な制度設計は銀行・証券会社や財務省、金融庁など関係省庁の意見を踏まえ、政府・与党が今秋以降に検討する。
預貯金まで含めた幅広い金融商品を一体課税の対象とするには、銀行や証券会社、国税当局がより正確に税額を計算するコンピューターシステムを整備する必要がある。
このため、まず株式配当などに先行導入した後、数年かけて対象を債券や預貯金などに段階的に拡大する見通しだ。
政府税調は預貯金利子や配当と相殺できる株式売買損失に上限を設定する意向だ。
欧米では上限を円換算で数十万円に設定している国もある。
しかし、金融税制の仕組みが大きく異なることから「日本で採用するわけにはいかない」(税調関係者)との意見があり、この点についても金融界などとの調整が必要となる。