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―外資、存在感高まる 2大グループが攻勢―
ゴルフ場事業で外資系グループの運営会社が存在感を高めている。
注目を集めるのは米投資ファンドのローンスター系パシフィックゴルフマネージメント(PGM、東京・港)と米投資銀行のゴールドマン・サックス系アコーディア・ゴルフ(東京・渋谷)の2大グループである。
両者のゴルフ場運営数はこの1年で、これまで日本のゴルフ界をリードしてきた西武、東急などの企業グループを抜き去り、今年度末までに百前後の運営を目指す。
両社はこの1年、インターネットによるプレー予約や資材・用品の一括調達方式を導入。
運営コストの削減によりプレー料金の引き下げやコース内の飲食施設で選べるメニューの幅を増やすなど、経営改革を実践してきた。
そして経営の重点はグループメリットをいかし、リピーター客を開拓する新たな魅力づくりへと移ってきた。
全国92コースを運営するPGM系で兵庫県にあるアークよかわゴルフ倶楽部(吉川町)は今年に入り入場者数が前年比40%増を記録している。
グループのゴルフ場の多くが入場者数、売上高とも前年を2ケタ伸ばしているが、最大の伸びだ。
利用者がゴルフカートをコース内に自由に乗り入れられるようにした。
米国流の最新の芝管理技術を取り入れ、耐久性が高く美しい芝に入れ替えたのだ。
他のコスト削減による原資を施設改修費に回すため利用料金を引き下げることはなかった。
さらにキャディーをつけないセルフプレーや利用時間を限定する早朝・薄暮プレーを取り入れた。
利用者の都合に合わせて選べるサービスを導入することで、幅広い世代の利用者がゲーム性や自然を楽しむ環境作りにこだわった。
全国74コースを運営するアコーディア・ゴルフは、多くのコースが入場者数、売上高ともに前年を2ケタ増を記録している。
同社はこのほどグループゴルフ場の会員権所有会員を対象にした新サービスを導入した。
現在31コース、会員権所有者合計は17万人弱に及ぶ。
商品購入やサービス利用の実績に応じてポイントをため、割引金額に換算して使える「アコーディアクラブポイントカード」制度もその1つ。
会員権所有者なら、ゴルフ商品を購入するたびに15%を割引き、その上で残金の18%相当分をポイント還元する。
さらに来年初めには自社グループゴルフ場に限定し、ゴルフ会員権を買い替える際の名義変更料を引き下げる。
下げ幅は未定だが、会員が転勤や引越しに際して地元にあるゴルフ場の会員権を購入しやすくした。
―個人利用者の増加で入場者、2年ぶり増―
日本経済新聞社がまとめた「全国ゴルフ場調査」(一部見込み値を含む)によれば、2003年度の国内ゴルフ場の総入場者数は前年比0.1%増の約8870万人だった。
入場者数は2年連続で9000万人を下回ったものの、2年ぶりに増加に転じた。
増加の主役は個人利用者。
企業の経費節減で接待ゴルフなどの社用族は減ったものの、退職者や女性など新しい顧客が増えつつある。
背景にあるのはゴルフ場の経営改革。
ここ数年の合理化策によるプレー料金の引き下げや新しいサービス導入によって、魅力あるゴルフ場づくりを目指す。
個人利用者の増加はゴルフ会員権相場の上昇に結びついている。
市場では法人の会員権売却が減る一方、50歳前後の男性など個人からの申し込みや問い合せが増えている。
売れ筋の会員権の中心価格帯は100万~300万円。
投資ではなく利用の為の購入が目立つ。
都心から高速道路やJRなど交通網の便利な地域にあるコースの人気が高いようだ。
日本スポーツマーケット研究所所長は「若年層ゴルファーの育成など、ゴルフ場、関連企業、地域が一体となった振興策がゴルフ人口を増やす有効な手立てになる」と協調する。