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政府税制調査会(首相の諮問機関)はゴルフ会員権の売買益などを給与など他の所得とは分離して課税する検討に入った。
実現すればゴルフ会員権の売却損を他の所得などと相殺(損益通算)して所得税額を圧縮する仕組みは廃止される。
税調はこうした内容を盛り込んだ個人所得課税についての報告書を21日に発表するが、会員権の保有者らから課税強化につながるとの反発も出そうだ。
報告書ではゴルフ会員権や高額な貴金属、骨董(こっとう)品などの売買で生じる利益(譲渡所得)を総合課税から分離課税に移行させるように提言する。
すでに土地や株式の譲渡益は他の所得とは分離して課税しているため、資産の譲渡で生じる利益への課税方法を統一する狙いがある。
分離課税にした場合、国の所得税と地方の個人住民税を合わせて20%の税率を適用する案が浮上している。
現在は他の所得と合算し、最高50%の累進税率で課税されているため、高所得者が売却益を出した場合は、現行より納税額が減る。
一方、損失が出ても他の所得と相殺することは原則禁止される。
多額の含み損を抱えた会員権の保有者は、売却すれば税負担が重くなる懸念がある。
政府税調は「故意に損失を出して納税額を抑え、節税に利用している事例がある」とみており、これまでもゴルフ会員権の売却損と他の所得との相殺を問題視してきた。
ただ会員権保有者の反発は必至で、周知徹底のため実施時期を大幅に遅らせることが必要との声もあり、実現までには曲折がありそうだ。