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セルフプレー中にホールインワンを達成した場合、ホールインワン保険から保険金が支払われるが否かは微妙だが、東京簡裁民事2室(丸尾敏也裁判官)は、保険金の支払いを保険会社に命じる判決を申し渡した。
保険会社を訴えたのはAゴルフ場でホールインワンを達成したとして保険会社に保険金を支払うように求めたゴルファー。
ゴルファーは、同社と同年5月10日にゴルファー保険契約を締結していた。
セルフプレーだったが従業員と支配人の証明を得て、保険金の支払いを申請、保険会社が支払いを拒否したため訴訟となった。
特約条項は『ホールインワンの達成を〝目撃〟した従業員1名以上が、署名または記名捺印をした保険会社所定のホールインワン証明書が提出されることが必要である』と定めており、今回の場合、「従業員がすでにカップに入っているボールを確認しただけで、ティショットしたところも、打ったボールが直接カップインしたところも見ていないのであるからホールインワンを〝目撃〟したとはいえず、保険金支払請求の要件を満たしていない」として、支払い拒否は正当であると主張。
裁判所は「保険会社は〝目撃〟とは〝原告の打ったボールが直接カップインしたところを見る〟
ことだというが、(キャディのいないゴルフ場では)従業員が直接カップインしたところを見ることは、ほとんどあり得ない。〝目撃〟を保険会社が主張するように解すると、セルフプレーの場合は、保険金が支払われる可能性はほとんどなくなってしまうことになり、妥当ではない。よって、〝目撃〟とは、従業員が当時の状況、関係者の証言等からホールインワンしたことの蓋然性が高いと認めた場合も含まれる」と論じて、ホールインワン達成時の状況を検証。
その結果、「全くの第三者である前の組のプレーヤー全員がホールインワンを〝目撃〟しており、売店の従業員が前の組のプレーヤーの説明を聞き当時の状況から判断して、ホールインワンの達成を証明している」ので、「ホールインワンしたことの蓋然性が高く、従業員がホールインワンの達成を〝目撃〟したとみることができる」として、保険金の支払いを保険会社に命じた。
判決文では、最近のゴルフ場のセルフ化に合わせ、ホールインワン保険の支払要件の緩和を行う保険会社も出てきているとし、その例として「友人と1組でプレーを申し込んでいたところ、全くの第三者である前の組のプレーヤー全員がホールインワンを目撃しており、証明書に記名押印してくれた」場合にも保険金を支払うように運用の変更を行っていることをあげた。
その上で「保険の趣旨にあった時代の要請に適合させた例と解することができる」と指摘した。
=ゴルフ特信 提供=