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ゴルフ場利用税は各都道府県が利用料金やコースの規模などで等級などを定め課税額を決めているが、大阪府池田市で会員制の箕面GC(18ホール)を経営する箕面観光開発(株)(以下会社と略)がゴルフ場の利用料金変更で、等級を変更した処分行政庁の処分を不服とし、取消しを求めた広告訴訟で、昨年7月29日に大阪地裁第7民事部(西川知一郎裁判長)が判決を下していることがわかった。
ゴルフ場側が敗訴したケースではあるが、ゴルフ場利用税に関する数少ない判例となっている。
判決文では、ゴルフ場利用税は道府県の普通税として利用者に定額課税の方式により課せられている(地方税法75条)と紹介。
その標準税率は1人1日800円で、道府県は1200円を超えない範囲で税率に等差を設けることができ、大阪府では条例で1級の1200円から7級の350円までの範囲内で定められ、各等級はゴルフ場のホール数、利用料金、整理状況を基準として知事が定めている。
また「利用料金」は会員制のゴルフ場にあっては非会員(非会員制では一般の利用者)が、平日において利用の対価として通常負担すべき料金(グリーンフィ=以下GF、厚生費、協力費、光熱費等)と規定している。
訴訟の経緯によると、ゴルフ場会社は平成15年12月10日にゴルフ場の料金体系を16年1月1日から変更する志のゴルフ場利用税登録事項変更申請書(平日ビジターでGF)を1万2600円から3100円に変更、キャディフィ4600円とロッカーフィ300円は同じ)を処分行政庁宛て提出。
これを受け処分行政庁は「利用料金」に該当する料金をGF及びロッカーフィの合計金額3400円と認定、同12月11日付けで16年1月からの等級を従来の2級(1150円)から6級(450円)に変更する通知を送付した。
しかし、処分行政庁がその後実施した聞き取り調査及びロッカーフィ(200円)のほか、「キャディフィ」4600円及び「エントリーフィ」の2000円が含まれる計9905円と認定、16年6月10日付けで7月1日からの等級を6級から3級(1000円)の変更する旨の本件処分を行った(なお、先の変更申請後同処分までにGF等が変更された)。
これを受け、ゴルフ場会社は7月7日に本件処分を不服として、行政不服審査法4条に基づく審査請求を行ったが、大阪知事は平成18年8月29日、同請求を棄却(ただし同裁決ではロッカーフィは利用料金に含まれないと判断)したことから、19年2月16日に本件の抗告訴訟を起こした。
「エントリーフィ」は、同ゴルフ場が民事再生計画で会員中心のクラブ運営を掲げ、非会員のプレーは原則、会員同伴(その場合の利用料金は会員の同額とする特典)とし、同伴でない場合に徴収を開始したもの。
判決では、争点は①「利用料金」に「エントリーフィ」、ないし「キャディフィ」が含まれるかどうか、②本件処分がされるまでの手続き過程に違法があるか否かとした。
裁判所は、利用税の等差格差で利用料金を主要な要素としているのは、利用に係わる対価又は担税力を認めて課税するという利用税の性格に由来するものと解釈。
利用料金を会員制ゴルフ場の非会員の平日料金としているのは、入会金、年会費などで別途負担している会員の利用料金は割安となっているのが通常で、非会員の料金が本来負担すべき対価の額を端的に表している。
一般に「通常負担すべき料金」の中心となるのがGFとしても、個々のゴルフ場の個別具体的な事情を踏まえ、他の名目の料金が当該ゴルフ場の利用に係わる対価又は負担として一般的なものでもあれば「利用料金」に含まれるとした上で、「エントリーフィ」は例外なくプレーの対価として徴収していたと認定、行政処分の判断に誤りはないとした。
「キャディフィ」についても「通常負担すべき料金」に含まれるか否かは同料金の徴収が任意に選択できたものかどうかを実際の運営や利用実態を考慮して判断すべきであるとして、同ゴルフ場ではセルフプレーの実態がないと認定し、実質的に任意選択性が採られていないと認め、行政処分の判断に違法はないとした。
さらに、本件処分の手続過程にも違法はないとして、原告の請求を棄却した。
ちなみに、同ゴルフ場会社は18年9月26日付けで同10月以降のGF等の値上げに当たり変更申請書を提出し、その際の料金表にはGFを〝基本料金〟、キャディフィ等は〝付加料金〟と区別して表示。
付加料金が「利用料金」に含まれないという前提で、3級から6級へに等級の変更を求めた。
処分行政庁はこの際11月28日付けでこれを認め、同12月1日から適用したと判決文で紹介している。
ビジターの平日プレーをキャディ付きがセルフの選択制にしたことによるものとみられる。
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