日経新聞 ―ゴルフ場破綻 「名門」に波及― 抜粋
2002年5月22日(水)
静岡県伊東市でホテル、ゴルフ場を運営する川奈ホテル(東京・中央)が21日、民事再生法の適用を申請した。
同ホテルは日ロ首脳会談の舞台になったほか、付属ゴルフ場は国内屈指の名門コースとされ内外のゴルファーの人気を集めてきた。
バブル崩壊後のゴルフ場破綻の波が、名門コースにも押し寄せた格好だ。
川奈ホテル付属のゴルフ場は1928年、旧大倉財閥の2代目当主だった大倉喜七郎の肝いりで建設され、コース(現・大島コース)は当時日本を代表するプレーヤーでもあった名匠・大谷光明氏が設計した。
相模湾を望むコースとして人気を集め、プロゴルフツアー「フジサンケイクラシック」の会場となるなど内外の評価が高かった。
数年前まで、会員か宿泊客でなければ、プレーできない超名門コースの一つだった。
しかし、ゴルフ利用の大半を占めていた接待ゴルフが激減。
同ホテルの宿泊客減少の一因となった。
今年2月には、スポーツ振興カントリー倶楽部や大厚木カントリー倶楽部などを傘下に抱えるゴルフ場経営大手のスポーツ振興(大阪市)が会社更生法を申請した。
負債総額は関連18社で2965億円に上り、日東興業に次ぐ大型ゴルフ場倒産となった。
スポーツ振興カントリー倶楽部では日本プロゴルフ選手権の開催実績があるほか、大厚木カントリー倶楽部は45ホールを抱え、神奈川県内では最大規模だった。
4月には男子トーナメントの「アコムインターナショナル」が開催されたこともある石岡ゴルフ倶楽部の運営会社が会社更生法を申請。
同コースはジャック・ニクラウス氏が設計、300ヤードを超す本格的な練習場などを完備し一般プレーヤーにも人気があった。
今月15日には98年の、「ダンロップレディース」の舞台にもなったザ・サイプレスゴルフクラブの運営会社が大阪地裁に特別清算を申請。
現在は、同クラブの会員が設立した新会社がゴルフ場を譲り受け営業を続けている。
帝国データバンクによると、2001年のゴルフ場倒産件数は82件で前の年度より55件増え過去最多。
負債総額は1兆4118億円と同15%減ったものの2年連続で1兆円を超える高い水準となった。