読売新聞 抜粋― ゴルフ会員権などは「ぜいたく品」 売却損の相殺廃止 ―
2004年3月2日(火)
~ 所得税改正財務省検討 ~
財務省は29日、個人が保有するゴルフ場やリゾートマンションの会員権を「投資対象のぜいたく品」と見なし、売却時に生じた譲渡損を他の所得と相殺(損益通算)できないよう所得税法などを改正する方針を固めた。
個人所得課税の抜本的改革に合わせ、2005年度から実施する方向で検討に入る。
現在、個人が保有する競走馬や書画、古美術品、貴金属などは「通常の生活に不要な資産」と見なされ、売却時の損失をほかの所得と相殺できない。
ただ、ゴルフ場などの会員権は、個人所得課税の損益通算に「ぜいたく品」の規定ができた1961年には投資対象でなかったため、ぜいたく品と見なされていない。
このため、ゴルフ場の会員権を売って売却価額から所得費や手数料などを差し引いて損金(赤字)が出た場合、給与など他の所得(黒字)相殺でき、翌年に支払う個人住民税も減らすことができる。
しかし、所得課税の強化を検討している財務省は、「会員権の実態は古美術品などと同じぜいたく品とみなせる」として、相殺を認めない方向で検討することにした。
実施が決まれば、個人が値下がりしたゴルフ会員権などを売却して「損切り」しても所得税額は減らせなくなる。
企業など法人が保有するゴルフ会員権は売却損と利益を相殺して法人税を払うことができるが、この仕組みは変えない。
ゴルフ会員権やリゾートマンションの会員権を巡っては、政府税制調査会(首相の諮問期間)が2000年7月の中期答申「わが国税制の現状と問題」で、損益通算のあり方について、「実態を踏まえつつ検討を加えることが必要」と指摘していた。