旧・富士Cグループの会員が損害賠償請求も敗訴
2009年9月18日(金)
旧・富士カントリーグループ(以下=グループ)に対して旧会員が提訴した預託金相当額の損害賠償を請求した5件の訴訟で、名古屋地裁(田近年則裁判長)は8G温7日、会員の訴えをすべて退ける判決を下した。
5つの事件を関係するゴルフ場などを基準に3つに分けて判決している。
3判決は会員側の主張がほぼ同じということもあり、ここでは第1事件と第2事件、第4事件をまとめて判決した「別紙第1」を報告する。
訴えていたのは、小萓チェリークリークCC(現・小萓OGMチェリークリークCC、岐阜)、富士C榊原温泉GC(現・榊原温泉GC、三重)、富士エクセレントC伊勢大鷲C、三重)、富士C塩河C(現・東建塩河CC、岐阜)の延べ57名の法人・個人の会員。
訴えられたのは特別清算となった小萓チェリークリーク等の元経営会社・富士カントリー(株)の元代表者と元役員、民事再生手続となった富士C榊原温泉GCの元経営会社・富士グリーン(株)の元代表者と元役員、グループ企業2社((株)可児GC、(株)明智GC)との代表者、一時期は同グループと密接な関係のあったフジパングループ本社(株)とその代表者、それに金融機関2社(十六銀行等)とその代表者らで、計5社、11個人。
会員側は会員募集に関して「〝フジパンですから預託金は確実に返還される〟などの虚偽の説明をした。それに対し、フジパンや富士カントリー等の役員等は販売行為責任がある」、「(金融機関を含めて)違法な勧誘を行った」、「リスクの説明がなく、説明義務を尽くさなかった」などと主張し損害賠償を求めた。
また、「(法的手続を取る前に)富士カントリーと富士グリーンの代表や取締役らは、(株)可児GCや(株)明智GCの代表と共謀して財産の移転をしており、財産隠匿責任がある」、「富士カントリーと富士グリーンが、不動産売却、根抵当権設定、債務弁済、質権設定は、預託金返還請求権を詐害する行為にあたる」と主張した。
会員側は、富士カントリーと富士グリーンが法的整理で事実上消滅したため、債権者であったグループ」会社や金融機関の抵当権設定(法的整理申立の前に、抵当権実行済み)や売買契約(同、契約成立)を詐害行為などと主張して、契約解除等で捻出できる資金を損害賠償として確保する考えだった。
しかし、裁判所の判断は「(グループとフジパンとは)経営的には区別しており、(代表者、役員らが〝フジパンですから〟というような)販売行為を慫慂したり承認、黙認したということは認めるに足りない」、「説明義務違反で不法行為を主張するが、会員権の価格が上下することは常識として当然」、「〝価値ある資産の隠匿を図り、株式や不動産も不当に安く質権実行を許した〟とするが、(不動産売却等は)やむをえない方法で、監査法人の指導も受けている」、「預託金返還請求権は法的手続終了で、請求力を損失しており、詐害行為取消の主張は採用できない」などとして会員側の主張をすべて退け、請求を破棄した。
ちなみに、「別紙第2」(原告計69名の法人・個人)と「別紙第3」(原告計7名の法人・個人)は、旧・富士エクセレントC御嵩花トピアG場(岐阜)など4コースが使える共通会員権「旧・富士エクセレント倶楽部」を保有する旧会員らが提訴した訴訟で、会員側の主張は別紙第1とほぼ同じ内容、いずれも会員側が敗訴している。
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