最高裁、土地明渡請求をした地主の上告を棄却
2010年3月26日(金)
ゴルフ場に土地を賃貸した地主が、その土地明渡しを求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は3月16日、土地明渡請求の「上告を棄却」と「上告審として受理しない」との決定を下し、高裁判決が確定した。
同訴訟は、鹿島の杜CC(18H、茨城)の土地の一部を保有している会社(以下=地主)が、同CCの経営会社(株)鹿島の杜カントリー倶楽部(以下=(株)鹿島の杜CC)に土地の明渡しなどを求めていた事件。
地主は「土地の賃貸借契約は終了している」(賃貸期間は昭和62年7月~平成19年6月)などと主張しが、東京高裁が地主の主張を退ける判決(事件番号=平成21年(ネ)第1812号)を下したことから上告していた。
高裁判決は、(株)鹿島の杜CCは「(土地明渡請求は)旧経営陣を復帰させるための経営妨害」、「土地を明け渡すことになれば、甚大な不利益を被り、約1700名の会員の権利や他の地権者の安定した賃料収入を失わせることになり、甚大な社会的損失を生じさせる」、「(明け渡す)土地は外部から直接到達することはおよそ不可能で、(地主が)明け渡しを受けられないことによる不利益はほとんどない」ので〝土地明渡請求は権利の濫用にあたる〟と主張した。
高裁の判断は、「旧経営陣の復帰が目的」などとした(株)鹿島の杜CCの主張を退けたが、「土地は公道に接していない上、ゴルフ場全体が市街化調整区域で、地主が土地を利用する選択肢は相当限定される」、「地主は憲法29条の財産権の保障に違反し、民法604条の強行法規に違反するなどと主張するが、会員や他の地権者に多大な不利益をもたらす」、「地主は、明渡しを受けた後の利用方法について具体的な計画を有していない」などとして、〝権利の濫用に当たる〟と判断し、地主の土地明渡請求を退けた。
上告に対し、最高裁は「上告をすることが許されるのは、民訴法312条1項(編集部注・上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる)又は2項所定の場合に限られるが、上告理由に該当しない」、「民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない」――として今回の決定となった。
(株)鹿島の杜CCの土地問題の訴訟を幾つか抱えていたが、今回の訴訟が最後となっていた。
今回の最高裁決定により(株)鹿島の杜CCは、民事再生後のすべての訴訟に勝訴した。
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